「そんなハイスペック男子をご所望のティアに好物件を紹介するか?」


酒を飲んで赤くなったイリアが申し出る。


「ご所望も何も、彼氏欲しい訳じゃないんだけど」

「そんなこと言わずにな。
今私の魔法学校に卒業してまだ残っている、ジュニ=フローレスは運動も勉強もできるし、家事も大半のことができて女子に人気だぞ」


イリアは校長の癖に生徒一人一人についての情報をしっかり把握している。
さすが、若くしてこの有名な学校の校長まで上り詰めただけはある。

が、それと彼氏がどうのこうのというのは別の話だ。


「先輩のモテ具合は高校の時に充分分かってるわ。
確かにハイスペックだけどどうも恋愛対象としては見られないのよね。
それに、彼はもう他校に彼女がいるわよ」


それに対しイリアはやけに大袈裟に驚く。


「何っそんな事聞いていないぞ。
くそ…私の情報網ではまだまだということか……」

「校長が生徒一人に対してそれだけ知ってれば充分だと思うわよ」


なんだか理解できないところで落ち込んでいるようなので、一応慰めておく。