試合が終了してユリアが戻ってくる。

早速アンジュはユリアに聞いてみた。


「ねね、ユリアが使ったあの呪文って何?」


そうして首を傾げたアンジュに、ユリアはよく聞いてくれたと言わんばかりに語りだした。


「あれはねー、紙に描いた絵とかを実体化させる魔法なんだーっ。
私昔っから絵は得意だったからさ、この呪文小さい頃すんごい練習したんだ。
今はもう、試合するってなったらこれ。
一応学校にも入学したし、他の魔法も練習してるけど」

「そっか…だから魔具がペンなんだ……。
確かにその方がやりやすいもんね…」

「そういうこと!
さっすがユール、察しがいいねっ」


自分の戦法を自慢できて上機嫌のユリアは、セリフの全てに音符がつきそうな勢いだ。


「さて、後はティアだけですが…どうです?心の準備は」


レインがティアに聞いてみる。
だが、その顔は実にニヤニヤと面白がっているようにしか見えない。


「レイン、本気で言ってないでしょ。
まー見てなさい。いいとこバッチリ見せつけてやるんだから」

「相変わらず負けず嫌いですね…。
今年の総合Aクラスは負けず嫌いが多いと聞きましたが…あなたも例にもれないみたいですね」

「いいでしょ、別に。
じゃっ行ってくるからねー。
ルカ助けたげてねー」


その言葉に振りかえってみると……

ルカはまだジュニの拷問に縛られていた。