アンジュに抱きついてにこにこしていたジュニは、レインとユーリ、ルカを見たとたん、目の色を変えた。
そのただならぬ雰囲気に男組は勿論、関係ない筈のティア、ユリア、ユールまで寒気を感じる。


「あんた達は…アンジュのなんだ?」


返答によっては殺すと言わんばかりの殺気。
さーっと男組の顔色が悪くなっていった。

アンジュが慌ててジュニの質問に答える。


「お、お兄ちゃん…みんなはわたしのお友達だよ。
ユーリにレインにルカだよ」

「ホントか…?ホントだな……?」

「うん、ほんとだよ」


その答えにジュニはほっとしたように表情を和らげる。


「そっか、そうだよな、よかった。
アンジュに彼氏でもできたらと思うと……

殺意が沸き起こるね、ほんと」



またジュニの目が剣呑と光る。

命の危険を感じた男組はペンギンのように身を寄せあった。


シスコンの恐ろしさを垣間見てしまった彼らの様子に、ティアとユリアは哀れみの視線を向けた。



「ねね、後はユリアとティアの試合だよね。
応援してるからね。
………あ、あと」


そう言ってアンジュは少し言いづらそうに口を開いた。



「ルカ……練習、手伝ってくれてありがとう」


衝撃の事実発覚。

実はルカはティアの手が空いていないとき、アンジュの練習に付き合っていたのだった。

傍目には密かに逢瀬を重ねていたも同然だ。



しかも、ここにいるだれもがその事を知らなかった上、シスコンジュニの御前。


ユリアが心配そうに試合場所に向かうなか、ルカはこれからの最善の身の振り方について頭を悩ませたのだった。