すぐに行われたレインの試験。

相手は黒い縮れっ毛の女子生徒だ。


試験が始まるとレインはすぐ自分の回りに防御魔法を張る。
対戦相手がレインに魔法で空気砲を放つも、防御魔法に阻まれた。

しかし、そこから反撃してくると思われたレインは、微笑んだまま動かない。

全く行動を起こさないレインに対戦相手だけでなく、ギャラリーも困惑する。

訳が分からなくなった対戦相手はレインに向かって叫んだ。


「ちょっと！なんなのよ、あんたは?!」


それは周りの観客全てが思っていることで、彼女に同感の意を示す者が多い。

ルカもその一人で、何してんだあいつ…と心のなかで呟いていたのだが、隣にいたティアを見て、彼女が苦笑いしていることに驚いた。

苦笑いしている本人に聞いてみる。


「おい…あいつ何してんのか分かってんの？」

「うん、だいたいね」

「じゃあ、あいつなんであんなことしてんの？」


ルカの疑問に答えたのは横から会話に乱入してきたユーリだった。


「レイン、試験で最っ高の結果出したいんだと思うぜ。
だけど、レインがいきなり本気だして相手瞬殺したら相手の試験結果ズタボロだろ？
だから、最初の何分かは相手が自分の評価を出すための時間ってことじゃないか？」


その答えにルカは顔をひきつらせた。


「…それ、残酷だな…ある意味……」

「相手が知ったら確実に凹む話よね」


そのレインの思惑通りになったようで、ティア達が話している間対戦相手はなんとかレインの防御魔法を破ろうと、先生も驚くような高度な魔法を使ってまで攻撃していたのだが、レインの防御魔法は壊れない。


試合開始から3分が経過したとき、レインは動いた。