その日の昼休み、皆はいつものカフェではなく、街の裏通りにある、アンダンテという喫茶店に向かっていた。
どうやらルカは普段そこにいるらしい。

喫茶店に着くまで、新しいクラスの話で盛り上がっていた。


「肉体派クラス楽しーぜマジで。
模擬戦しまくったし」

「うわ…絶対やだ、そんなの……。
頭脳派クラス楽しい…専門書の読み方とか魔法の原理とか」

「…わたし頭脳派クラスいかなくてよかったな。
頭パンクしてたかも」


頭脳派クラスの授業にアンジュが自分の選択の正解を確信したとき、ユリアがあることを思い出した。


「そうだアンジュ、ルカってどんな人だったの?
私前同じクラスだったって人に聞いてみたんだけど、クールでカッコいいってことしか分かんなくて」

「んっとね……なんだか表情出さない人だなぁって思いながら見てたよ、わたしは。
確かに顔はすごいカッコいいんだけど、笑ったりしないからちょっと怖かったなぁ…。
あ、でも、わたしが学生証落としたとき拾ってくれたから、悪い人じゃないと思うよ」

「何してるのよ、全く…。
あ、ここね、アンダンテ」


おしゃべりをしているうちにどうやら目的地についたようだ。
[Andante]と書かれたボートは年季がはいっている。


皆は好奇心も露に、アンダンテに突入した。