オバァ、重度の心筋症を患っておったんです。
さらに検査の結果、島に病院もなくお薬も飲めておらず、長年放っておいてしまったこともあり、病気は重く悪化しとったのです。
ニィニィは手術も考えたようなのですが、オバァの歳では体力が持たん可能性が高くてリスクを伴うため、手術は断念せざるを得ませんでした。
でも、ペースメーカーを入れれば、ずっと楽になるし今までのように生活もできる。
だから、ニィニィのおる那覇の大学病院で一度詳しい診察をとすすめたのですが、オバァは頑なに拒否しました。

「ひとの寿命や生まれたその瞬間から決まっているのやっさー。やさから、運命には逆らえねーらんど。これがオバァの寿命なわけよ」
オバァは入院も拒否し、早々に島へと帰って来てしまったんです。

その頃からニィニィはいつ倒れても不思議じゃないくらいの多忙を極めた日々を送るようになりました。
少しでも、1日でもオバァに長生きして欲しいと治療の説得の毎日。
島の診療所開設に向けて着工が始まり、那覇の病院の勤務と島を行ったり来たりの他に、せめて薬だけでも飲ませたいと石垣島の病院にオバァを連れて受診に行ったりと、本当に目まぐるしかったんです。