「ここら辺はいないみたいだな。もっと奥へ行こう。」
「は?もう十分奥だろ。他探した方がいいんじゃねーの?」
「ならどーぞ。歩いて山下って繁華街探しに行ってくれるの?それはありがたいなぁ。」
「…う、嘘だよ。冗談に決まってるだろ、探すよ、探す。」
懐中電灯の明かりを下に向けながら探す。枯れた枝や草だらけで、おまけに湿ってる。
確かに、他を探した方がいいかとも思ったが、今思えば人のいる所へわざわざ行く訳ないだろ。
倒れた木が重なって、まわりより草が茂っているところ。
懐中電灯を当てても、気をつけてみないと分からないようなところに藍は倒れていた。
「唯人!いたぞ!」
「…藍っ!おい!藍!」
体は冷え切っていて。返事も、無かった。
「とりあえず、車まで行こう。先に行って暖めておいてくれ。」
「…おう。わかった。」
そう言って車の鍵を渡すと、走っていった。