「…そんなことないだろ。」
「…取りあえず、藍を拾った山に行こう。」
家を出て車に乗ると、山へ向かった。ここからはそんなに離れていない。
…お願いだから、いてくれ。
藍がいなくなった部屋は冷たくて。嬉しそうに、控えめに笑う藍がいないのは嫌だ。
きっとお前は俺に迷惑がかかる、とか言って出てったのだろう?
そんな事あるはずないのに。
…ほんと、藍は馬鹿だな。
心の中で笑うと、藍を拾った辺りで車を停めた。
「夜の山って怖いな…。」
「何びびってんだよ。藍はきっといるんだ、早く探そう。」
「ほら、よく首吊りとかあるじゃん?こういう所って本当にあり「これ以上言ったら、藍をつれてお前置いて帰るぞ。嫌なら手を動かせ。」
「…はぁ。」
仕方なく手を動かす唯人は何をしに来たのか分かっているのだろうか。
俺はこんなにも焦っているというのに。
普段外に出ない藍がここまで歩いて来たとしたら、体にストレスがかかっているはずだ。早く見つけ出さないと。