裸足でいいや。
山に戻って汚くしたら嫌だ。それに今度こそ、死ぬのだから。
重いドアを開けて、部屋に頭を下げた。私に出来るのはこのくらいしかないから。
久しぶりにみた空は、晴れていて。というか、ここはどこなのだろう。知らない間に連れて来られたから全く見当もつかない。
そして、外にはたくさんの、人。
足が震えた。自分に誰も見向きもしないのなんて知ってる。
だけど。どうしようもなく恐い。一人で外に出るの、初めてだ。
一歩、一歩足を進めるがこんなんじゃ絶対に着かない。急がないと、高木さんが帰ってきてしまう。
なるべく下を向いて急ぎ足で歩く。どこへ向かっているのか分からないけど、とにかく足を進めた。