…戻ろう。
最初から、信じちゃだめって思っていたのに。裏切られるって絶対に思っていたのに。
高木さんは、そんな事しなかった。
私がどんなに怯えても。大丈夫って言ってくれて。
どれも初めてのことばかりで、心がひどく温かくなった。
でも、やっと気付いた。高木さんの世界に私はいらない。
傷だって、もう治ってきた。高木さんも傷が治るまでって言っていたじゃないか。
なんで、涙が出るんだろう。
最近はこんな事ばかりだ。
もう、いいや。早く出よう。
買ってもらった服のまま出るのは気が引けるけど。きっと、服は捨てられてしまったから。
玄関には泥だらけの靴はなく、綺麗な可愛い靴があった。
どうしようか。