藍side


「いって、らっしゃい」


「おう。行ってきます。」


そう言って、高木さんを見送ると柔らかく笑って私の頭を撫でてから部屋を出る。



拾われてからもうすぐ一ヶ月。



最近は仕事が忙しいらしく、朝早くに行って、帰りはいつも遅い。



留守番には、結構慣れた。



家では掃除とか、洗濯とかやっているけど、暇な時間が多くて。



やっぱり。





…唯人さんの言葉が頭から離れない。



あの日。


久しぶりに会った唯人さんは少し印象が変わってて。なんだろう。施設にいた時よりも派手で、でも心は真っ黒な気がした。


施設にいた時は、もっと無邪気?だっけ。そんな感じだった。



言葉は分からないけど、施設で本があったりして。それを読んだことはある。ただ、喋ったりは全くしなかったから、やっぱり分からない。




でも、唯人さんから聞いた言葉は全て理解出来た。