「親、しらない。施設で、そ、だちました。それで、ひきとるひとが、きて…だけど、そのひと暴力振るう。捨てられ、た。そのあと、もひろっては、捨てられて、それで…、それでっ…高木さんが拾ってくれた」




藍の話をはあまりにも酷いものだった。


親はいなくて、施設で育ったこと。
それで、藍を引き取った人が暴力を振るっていたこと。
そして、引き取り手の人とは主従関係があったらしい。
…捨てられた回数は、分からないらしい。



ってことは、藍からしてみれば俺もその一人ってわけか。

…暴力って。ここまでするとか頭おかしいだろ。



「っやっぱり、汚いって、おもったっ…高木、さん、嫌いになった…?」



「安心していい。なってねーよ。汚くなんかない。」



そう言えば、不安そうな瞳も、少しだけ明るくなった。



その顔の傷が痛々しい。


病院、行きたいんだけどな。でも今の状態で行ったら絶対に疑われる。


いや、俺がどうこうじゃなくて、万が一藍の引き取り手とか施設に連絡なんかしたら、最悪だ。