「ひっ…ふ、ぅ…」



やさしく背中を叩いてやると、声を殺して泣いているようだった。



我慢なんてしなくていいのに。もっと頼ればいいのに、藍は全くと言っていいほど子供らしさがない。


「お前は我慢しすぎ。もっと言いたいこととかあるなら言えばいい。泣きたい時は、おもいきり泣け」


「ないて、ない…」


そういって顔をあげた藍の目は腫れぼったくて。


なんてわかりやすい嘘なんだ。


少し笑いそうになったが、そっとしておいてやろう。



「なぁ。やっぱり、お前がなんであの場所にいたのか教えてほしい。言いづらいことはまだ、言わなくていいけど。俺も、今の状態を把握…知っておきたいからさ」



俺が言うと、目に手をあてながら頷いた。



「きいたら、汚いって、おもう…」


「思わない。絶対に。」


「おもうっ…」


頭を撫でてやれば、心を決めたように話し出した。