「今は、信じなくていいよ、藍。俺は絶対に藍を捨てないし、暴力も振るわない。俺が藍を信じさせるから、藍はなにも、しなくていい」
近寄り、優しく、そして強く抱きしめる。
「こん、なのおかしい…知ら、ないっ!こわ、い…」
「俺が怖いか」
そう聞けば首を大きく横へ振った。
「ち、がう。こんな、風にされたことない、やさし、くされたことない…どうすれ、ばいいか、わからない…」
「あぁ。こういう時はな、…そっと抱きしめ返せばいい。少なくとも俺はそうして欲しい。自分が思うように、正直になればいいよ」
藍はほんの少しだけ、抱きしめ返した。
少しは、楽になっただろうか。
俺も、こんな台詞を言うなんて思ってなかった。でも、藍には直球で言わないと伝わらないいだろうと思った。
どんなことも、疑って生きてきたんだろうな。
そう思うと、腹がたった。そんな環境にした、誰かに。