───ガチャ



一人で考え事をしているとドアの開く音がした。


顔は真っ赤に染まって、目は潤んでる。おまけに用意した服は、案の定ぶかぶかで。貸したトレーナーはワンピースのようになっていて。



なんだ、これ。可愛すぎないか?



「あの…なにか?」


しばらく見つめていると、話しかけられハッとした。


「いや、可愛いなと思って。それより、髪乾かしてやるよ」


おいで、と手で呼ぶと 不思議そうについてくる。でも、その手はまだ怯えたように震えていて。


藍をソファに座らせ、コンセントにドライヤーのコードを差し込む。


髪を触ると、ビクッと肩が震えた。


「ごめんな?髪乾かさないと、風邪ひいちゃうから」


そう言うと、ゆっくりと肩を下げる。どうやら、いきなり触られるのがきついらしい。


ドライヤーのスイッチを押し、髪を梳かしながら、風を当てていく。