若いお兄さんの気まぐれ話は少しだけ気持ちが踊らされてわくわくしていた、そんなことが無駄なことだと思っていたから。バスが来たらまた他人に戻って、もう話した内容すら忘れるんだろう。その時だった、今さっきまで元気に話ししていた男の子がこくん、こくんと眠ってしまった。細くて柔らかそうな髪の毛にきらきらしていて夕日みたいな輝きのある茶髪で、少しだけ雨粒が髪の毛に残っていた。(風邪ひいちゃう)とっさに鞄からタオルを出して男の子の髪の毛を拭いてあげた。なんだか男の子の優しさに、涙がこぼれた。もうだめだ、この場にいたらこの男の子のことを知りたくなる、そう思ったらとっさに鞄をもってベンチから立ち上がろうとしたその瞬間「なんで?一緒に虹見てくれなきゃ本当に僕お姉さんにウソつくみたいじゃないですか」とっさに寝ていた彼が起きた。