ピンポーンピンポーン(あ、館内放送だ)
_天気が大荒れになる予報が出ています。本日午後は閉館させていただきます_
(そうだ、今日大雨になるんだっけ)足早に館内に戻る。
「あ、宇川さん、さっきの館内放送聞いたかしら?今日はもう閉館になるのだから帰りの支度をして」館長さんの言葉に軽く会釈をして帰りの準備を始める。
「うちの車でおくるわよ」「いいわよ、うち近いもの」「帰りにうちに寄らない?」職場の先輩方は早帰りになることをなんだか嬉しそうに、午後の予定を立てていた。「宇川さん、お疲れさま」「お疲れ様お先に」「あ、お疲れ様です」私も早く帰ろう。
玄関先で館長に会った。
「あら、宇川さん車で送るわよ?ちょっと待っていて」「あ、私バスで帰れますので館長お帰りになってください」そう?と少し寂しそうな顔をして「じゃあ、早く帰るのよ?」「はい、お疲れ様でした」館長の車を見送って傘をさそうと傘立てを見ると「あれ・・ない」今朝差してきたのに!心の中で叫びながら「あ、でもバス停までダッシュすれば平気だよね。」勢いよく歩き出した瞬間ドンっ・・・「痛ったぁ」あ、転んだ衝撃にパンプスのかかとが壊れてしまった。(もう、本当についてない)転んだ体を起こして(よし、バスの時間まで向かいのカフェはいってみよう)大粒の雨の中カフェに走りこむ。