『次はコウちゃんの知り合いの話を聞かせて』
話を変えた。

コウちゃんは海を見つめると話し始めた。

「当時働いてた居酒屋に友達と一緒に来た。その店の子達ってな~んかつまんなくてノリ違った。けどその2人はノリがばっちり合った。気づいたら一緒にいるようになってさ、その時ちょっとブルーだった俺は楽しくてしょうがなくなったわけ。そいつは仲間内で彼氏ができてすげ~幸せそうだった。その時のあいつは何も考えてない人間だった。ただ今が楽しくて皆といる時間が楽しくて。って子だった。」


思い出しながら自然と笑っていた。

『その子がアキと同じ名前の人?』
私が聞くと「そうだよ」と言って笑った。

『それから?』

「それからあいつは彼氏と別れた。そいつにしたらもうこの世の終わりってぐらい落ち込んでた。その姿がついこないだまで失恋して落ち込んでた俺にそっくりだったからお節介な俺はそいつの側に居た。」

『コウちゃん優しいね』
そう言うと「うるせぇ~」と言って頭を掻いた。

「それから人が変わったように笑わなくなって泣かなくなった。けどめげずにあいつの側に居た。新しく仕事を始めたそいつはそこで出会った先輩達に立ち直らせてもらったみたい。また笑うようになって俺は嬉しかった。けど、トラブルが起きてそこをやめることになった。すげ~悲しそうな顔をしてそれからは毎日寂しそうな顔をしてた。」