ーー今日は木曜日。
屋上の隅っこ。
そこは、私の居場所。
私の、大好きな人の居場所。
〈キーンコーンカーン〉
授業終了のチャイムが鳴った。
教室を出て左に曲がり、突き当たりを右
。
階段を上がってドアを開けると、そこは屋上。
大好きな人が、待っている。
「よぉ、遅かったじゃん。」
遅かったじゃん、って。
チャイム鳴ってからすぐ来ましたけど。
『そりゃあ青山君は授業サボってんだから誰より早く来れるでしょうねぇ』
「ちげぇよサボってるわけじゃ」
『じゃあ何してるの?』
「……休憩?」
いや疑問系って。こっちが聞きたい。
「でも咲坂は偉いよなー、部活もやって。授業も出て。友達もたくさんいて。」
…なんて答えればいいのか分からない。
だってこの人、青山涼也はとある事情で友達作りができなくなった。
授業にも出られない。
正確に言うと、教室にはいれない。
それは先生に怒られたからー、とかそんなくだらない理由じゃなくて。
『青山君だって、教室来たら友達たくさんできるよ』
頭良し。顔良し。運動良し。
モテ要素の塊、それが青山涼也。
私の、好きな人。
「坂……さき……咲坂!!!」
『えぇ?!はい!』
「寝てんじゃねぇ!起きろ!」
あぁ私、寝てたんだ。
でも、寝るのも無理はない。
なんてったって、私が嫌いな英語の時間。
木曜日なのに英語なんて、ついてないなぁ。
木曜日は唯一、青山君が学校来る日なのに。
まぁ来ても、屋上で寝てるだけなんだけどね。
ーー結局叱られた内容も頭にはいらないまま、授業が終わる。
「ふったばーーー!」
おわっ、今日も元気いいね、、、。
『どしたの?渚ちゃん。』
「どしたの?渚ちゃん。じゃなくてさぁぁ!!こっちのセリフだよ!
今日は朝からボーっとしちゃってさぁ。
休憩時間になると走ってどっか行っちゃって。
どうしたの?」
どっかって。
青山君に会うために屋上行ってるの!
…なんて言えない………
『んー?なんもないよー』