前に進めていた足を止め、
振り返り、
私は気づいてしまった。






あの桜のストラップがない。






本来ならスクールバックの隅で
キラキラと輝いているはずなのに、
まるで最初から存在しなかったかのように姿を消している。




もう何年もつけている代物だ。




歩いている途中で
きっと糸が切れちゃったんだろう。




そう思いながらも
私は一応バッグのチャックを開いてみた。




教科書を取り去り、
ストラップが混ざっていないか
じっくりと確認していく。






ポケットからペンケース、
さらにはファイルの中も
一つ残らず丁寧に。




やはりあれは見つからない。




「ウソ……」




言いようのできない喪失感が襲いかかり、思わずへたり込んでしまう。




例えるなら、生きた心地がしない。




暗闇の中を永遠に彷徨い続けないといけない気さえしてきた。




最悪。




もう、本当に。