「今日の午後にはこっちに着くみたいで……」
「今日?随分と急だな」
「ですね……」
ガックリ肩を落とす私は、あらかじめ連絡をくれなかった妹の里沙をこっそり憎んだ。
だって、今日の午後にこちらへ着くということは……。
「じゃあラーメン屋と映画のナポリタンはまた今度にすっぺ。帰って迎える準備しないと」
啓さんが言った言葉は、私も考えていたことと同じ。
ガーン。と地味にショックを受ける。
せっかく2人きりでデート出来る数少ない機会なのに!妹め〜!
「そんなガッカリするなよ」
あからさまに落ち込んでいる私を見て、啓さんはポンと頭に手を置いてきた。
「また2人で来ればいいしょ。小樽でも、富良野でも、函館でも、どこでもいつでも行けっから」
「…………はい」
この啓さんが何気なくやってくれる、頭を撫でてくれる行為が実はものすごく好きだったりする。
なので、現金な私はそれでかなり機嫌を持ち直し、笑顔を出すことが出来た。
「妹にここの良さを伝えられたらいいなぁ、って思います」
「そうだな」
のちに届けられた甘いパフェで、さらに機嫌が良くなったのは言うまでもない。