「ふぅ……お腹いっぱい。」

「未来、いっぱい食べてたもんね。」

「よし、んじゃあ 帰ろっか。」

透哉さんの一声で未来のご両親とは別れた。

近くの駅まで向かおう、と 未来の方を見ると 未来は実希さんに袖を引っ張られていた。

「何⁇」

「あのさ……泊めて⁇」

「ホテルじゃなかったの⁇」

おもむろに嫌そうな顔をする未来。

「今日 チェックアウトしたから ホテルじゃない。

忘れてた。

だから、未来の家に泊めて⁇」

マジか……ホテル チェックアウトしたことを忘れる、ってなかなかだな……。

一歩間違えれば、野宿になんじゃん。

「私は別にいいけど……燕はどう⁇」

女の人が一晩 野宿するとか、ちょっと想像してみただけでも、相当 危ない。

「別にいいけど⁇
だって 仕方ないじゃん。」

「燕が優しいから、泊めてあげてもいいよ。

でも、荷物とかは⁇」

「あー……コインロッカー。」

そう言われる気はなんとなくしてたよ。

「何処に預けたの⁇」

「んー……とね、お母さんとかの家に近いところ。」

……ってことは、帰る途中に通る駅だな。
変に往復しないといけない場所よりかは、遥にマシだな。

「んじゃあ、帰ろっか。」

「うん‼︎」

未来は笑顔で俺の方に来る未来。

すっげー、可愛い。

抱きしめたかったけど、流石に 人の目もあるし 我慢……だな。

「置いてかないでよ⁉︎」

実希さんが小走りで俺等の後ろをついてきた。