「俺には分からねーな。

何しろ、そんな状況に陥ったこととかねーし。

でも、想像だけど そういう風に考えんだろうな……とは思った。

ってか、そんなに燕君の状態ってヤバかったの⁇」

沈黙を破ったのは透哉さんだった。

「うん、事故にあってから3ヶ月後に意識を取り戻して、それから 3ヶ月かかって 身体が元のように動かせるようになった……だよね⁇」

未来が聞いてきたから、俺は頷いた。

「今も若干、左足 引きずってるしな。」

「そうだったの⁇
言われないと気づかないくらいのレベルだよ⁇」

「そうか⁇なら、まだマシか。」

左足は神経自体に傷が入ってしまっているから これ以上の回復は見込めない、と担当医の先生に言われた。

だから、これは自分の不注意さへの戒め。

「その間、未来はずっと燕君に付き添っていたのか⁇」

「んー、まぁ……そうかな。
毎日、お見舞いには行ってたよ。

時々 酷いこと言われてたけどね。」

嫌味を言うみたいな感じで、未来にそう言われた。

お義父さん・お義母さんが居る前でそんなのこと言わないでほしいな……。

「酷いこと、って例えば⁇」

「何個かあるよ。

"生徒が軽々しく俺の名前を呼び捨てするな。
敬語を使え。"

"寝たいから、早く帰れ。"

"お前がいると、落ち着かない。
何処かへ行け。"

"もう2度と来るな。"

とかかな⁇」

なんで、そんなに覚えてるんだよ……。