「別にいいじゃん、こんなことできるのも今のうちだけかも知れないんだからさ。」

「うわー、未来ちゃん すごい現実見てるね。」

未来の言葉に少しオーバーなくらいに透哉さんが反応する。

「だって、燕 すぐに私のこと 突き放そうとするんだもん。

そういう考えになるのも仕方ないと思うんだけどな……」

「「「「確かにそれは、燕君が悪い。」」」」

俺と未来以外 全員の声が揃う。

「だって、未来のこと幸せにしてやれないのに 側にいても邪魔なだけだろ。」

そういうことを言うのは、未来のことを思っているからであって……」

「未来がそれを望んでいなくても、自分の意見を通そうとしているのは 未来のことを思っているからではないんじゃないか⁇」

お義父さんにそう言われてしまった。

「そうなのかもしれません。」

俺は手を止めた。

「でも、事故にあって 不自由な身体になって お先真っ暗な状態だった僕に未来を幸せにすることはできなかっただろうと思います。

また、リハビリの成果もあって 動けるようになって……働くこともできて、初めて 他人のことも視野に入るようになる。

別に、自分 1人なら どうなったって構わない。

でも、もう1人……しかも好きな人 ってなれば その分 その人には不自由な暮らしをさせたくない……とか、そういう風に思ってしまう。

このまま、身体が動かなくなって 働けなくなって 金も稼げなくなった自分が未来に何をしてやれるだろう⁇

そう考えたら、別れるのが最善策のように思えたんです。」

俺の言葉に全員が黙ってしまった。
語り過ぎてしまった気がする……、恥ずかしい。