「燕⁇」

未来に名前を呼ばれた。

「ん⁇」

「無理しなくてもいいよ⁇」

……今の会話で、俺が無理して見栄張ろうとしてる……って思われたのか⁇

「してないし。」

「んなら、燕君の奢りってことで 何処行く⁇」

透哉さん……本当 遠慮ないな……。

「ここはさー……一番年上のお父さんが払うべきだよ、ね⁇実希⁇」

「えっ、私⁉︎
……確かに思ったけど……。」

未来が突然 お父さんの方向に話を逸らした。

「ほら、ね⁇
ってことで、最年長者のお父さん 夜ご飯 奢って⁇」

「いや、お父さんも初めから そのつもりだったから。」

……うまい具合に 俺が透哉さんに遊ばれていただけか。

「んじゃ、美味しいところ 食べに行こ。」

「……お父さんだから、って……」

お義父さんが苦しげな声を出された。

「よし、お腹空いたから 行こう‼︎」

未来はそう言って、立ち上がろうとしたけど 俺が未来のお腹に手を回していたから 上手くいかず 俺の方にこけてきた。

「うおっ。」

俺は、まさかの未来の動きについていけず 後ろに転びそうになったけど、左手で床に手をつき なんとか免れた。

「ビックリした……、大丈夫⁇」

「私は大丈夫だよ、だから ほら 行こ⁇」

今度こそ、未来は立ち上がり 俺にそう言った。