「あいさかくーん」
遠くから女の子達の声が聞こえる。

「じゃあ、またな!真田!」

「ん。」

彼は手をあげ、私も合わせて手をあげた。
あの容姿に性格で早速、女の子達を釘付けにしてるんだろなぁ。

私の儚い気持ちは彼に届くはずはなく、私を置いて遠くへ行ってしまう。

どうせこの3年間もこの距離感で、何事もなく終わってしまうんだろなと思い、ため息をつく。

そのままボーっと歩いて教室に向かっていると

バンッ

誰かにぶつかった。
「…いた。」

「大丈夫?」

「これくらい大丈夫。」
と相手の顔をみると、目の下の泣きぼくろが色っぽくて、甘いマスクのイケメン
がいて驚いた。

「そっか、ごめんね。君、名前は?」

「真田茉凛」

「茉凛ちゃんね。俺は藤堂捺夢。なつめって呼んでね?」

なつめ…最初から呼び捨てなんて馴れ馴れしい。

「考えとく」

と冷たく言い返すといきなり私の頬に手を置いて

「俺、茉凛ちゃんの事ちょっと気になるかも。」


…え?!!
今なんて??
入学早々こんな事ってあるの?

てか、スキンシップやめろ!!!

「あっそう。」
と手を払いのけ、教室へと向かった。

顔はまぁまぁいいけど、エロスねきっと。
「まりーん!」

「くるみ」

私の名前を呼んで追いかけてきたのは親友のくるみ。

小ちゃくて可愛くて清楚系で天然というハイスペックな女の子。

男の子にもだいぶモテるが鈍感なので、自分自身は気づいてない。

とにかく憎めない罪な女だ。

「くるみ遅かったね」

「えへへ、道に迷っちゃって!
でもね道教えてくれる人がいてね、助かったよ~」

きっとくるみの外見に惹かれた野郎どもだろう。

「そっか、無事に来れてよかった!」

「ありがと!」

そう笑う、くるみは天使で、私の心を癒してくれる。

女の私でも惚れるくらいだ。