憧れてたさくら花園高等学校という女子高の名門で
しかも全寮制ということを入学して知ったあたしは
桐島 華乃子。
ただ、制服が可愛いっていうことと
学校の敷地が広いっていう理由で選んだ自分に入学当時、
ショックを受けたし家族と離ればなれも今となってはそんなのどうでもいい。
可愛い制服に身を包み、新しい友達さえ見つけられれば問題ないのだから。
なのに、、、
一体どういうことでしょう?
友達が一向に出来ません!!
それもそのはず、
このさくら花園高等学校は小中高とエスカレート式で
小学校や中学校でもう既にグループは出来ており、
高校から入ったのはあたしをはじめとするたったの10人。
そんな状況で高校からぬけぬけと入ったあたしに
居場所なんてありませんよね!
ふんっと一人いじけてると、
ガチャッと玄関から物音が聞こえた。
「ただいまぁー。あら?帰ってたの?」
帰ってきたのはあたしのルームメイトである
橘 美樹。
あたしの唯一の話せる女子。
でも、友達ではないかも…。
「うん、あたし部活ないし…あ、そうだ」
あたしは学校のカバンからピンクの可愛らしいラッピングされたものを
橘さんに渡した。
「…これなぁに?」
一瞬、彼女の顔が強ばったのは気のせいであろうか…。
少し不思議に思いながら言葉を返す。
「帰る途中、隣のクラスメイトに捕まって…あなたに渡すよう頼まれたの」
実は彼女、
さくら花園高等学校の人気者で女子だらけの高校でモテている。
それもそのはず、
橘さんの容姿は女のあたしからでも
唾をのむくらい完璧なスタイルでおまけに美人で
優しくて姉御肌な彼女に惚れない人などいないだろう。
橘さんは誰にでも優しいから生徒からも教師からも信頼が厚いのだ。
そう考えると、今ルームメイトの相手が橘さんだなんて
ちょっと誇らしい。
まぁ、友達っていう深い間柄ではないんだけど…。
中々受け取ってくれない橘さんをチラッと見ると
買い出したであろう野菜を冷蔵庫にいれていた。
「えっ、ちょっと!橘さん受け取ってくださいよ!」
なんで差出てんのに取ってくれないの?
「あ、ごめんごめん!生物腐ると思って!それにそれ開けちゃってもいいよ?」
え?
「多分、中身は調理実習で作ったマフィンだと思う」
そう言ってまた冷蔵庫の中をごそごそし始める橘さんに戸惑う。
え…いいのかな…?
橘さんが言うように中身がマフィンなのかと
興味をもったあたしは申し訳ないと思いつつ、
本人の承諾を得たので中を見ることにした。
中は本当にマフィンだった。
「っ!っほ、ほんとにマフィンだ…」
ほらね、とでもいうような顔をしていつの間にか冷蔵庫から離れてソファでお茶をゆったりと飲んでいた。
そんな姿でも様になる橘さん…。
一体どんな教育を受けたらこんな風になるのだろう。