「うん……そう。一緒なんだ」
「その事、多分彼女も知ってる。だから、敦くんに名前を呼ばれる度に傷ついてる」
彼女であるハルは、なぜか俺が『ハル』と呼ぶ度に切なそうにしていた。
気持ちがすぐに表情に出てしまい、それを隠す事が出来ない素直な彼女。名前を呼ばれる度に眉を下げてしまうのは、何故なのかと考えた事があった。
俺から彼女に、元カノであるハルの話をした事は全くない。だから、知らないものだと思っていたけれど……
「……智か」
俺の恋愛事情を知っていて、ハルとも仲が良い奴といえば、アイツしかいない。……本当、お喋りだな。
「敦くん、約束だよ。ちゃんと、彼女さんには気持ちを伝えてあげてね」
「……うん。でも、間に合うかな」
絶対に、伝える。もう、これ以上大切な人を失って後悔はしたくない。
だけど……もう、あのハルは俺の横にいない。もう、手遅れかもしれない。
「手遅れとか手遅れじゃないとか、そんなの関係ないよ。ちゃんと伝えなきゃ駄目。間違いなく伝えてくれなきゃ、また私幽霊として出てきちゃうからね」