女に不自由したことはない。
告白されれば適当に付き合うし、面倒くさくなったら即、おさらば。
顔と後腐れなさそうで、遊びなれている女を選んで付き合ってきた。
付き合うの定義がいまいちわからないが。
デートだ、なんだをしつこくせがむ女は即、おさらば。
待ち合わせの一時間後に行って、文句を言った女も即、おさらば。
まともな付き合い方をしていなかったのはわかる。
高校時代に女について学習したことと言えば、楽なのはそこそこ金を持った年上が一番だと言うこと。
遊びなれていて、うるさくない。
金もかからないし、うまいものがタダで食べられる。
そんなこんなで、高校を卒業する頃には、俺の噂に尾ひれ目ひれがついていた。
素晴らしいほどの女遍歴ができあがっていた。
だからと言って、俺は別にそんな噂は気にしなかった。
全てが嘘というわけではないから。
しかし、その噂のせいで障害がでた。
一人暮らし禁止令が持ち上がったのだ。
「お前みたいなのを野放しできるか!女を連れ込んでロクなことをしないに決まっている」
親父は厳しい口調で言い。
お袋に、姉貴に妹は、うんうんと頷いた。