「そうは言っても、小春に対しての態度は変えられないでしょ?どんな結末を迎えるやら」
おばさんがため息を吐きながら二階を見た。
「仁君。あなたのお手並み拝見させてもらうわ。あの子も長い間頑張って来たんだから、もう休ませてあげて。本当にがむしゃらに頑張ってたのよ?別人になったでしょ?」
何だかんだ言ってもおばさんは水野の成長を認めてるんだ。
このおばさんに認められたなら大したもんじゃないか。
「ええ。別人みたいに綺麗になってました。外見も中身も。でも笑った時の可愛らしさは変わらないし、あの表情が一番好きですね」
仁は笑った。
これが水野の前での仁なんだろう。
優しく穏やかな目をしている。
この瞳をずっと追いかけてきたんだ、水野は。
水野は仁にどんな表情を見せていたのだろう。
それを知る時が来るのだろうか?
仁の前で、何の憂いもなく笑っている水野を見れる日が。
もう、仁と水野がどうにかなることはない。
それなら。
他の男に笑いかけてる姿なんか見たくないけど。
それ以上に想い続けた男に見せる、とびっきりの笑顔を見てみたい。
水野には笑っていて欲しい。
早く立ち直って欲しい。
結局それには、このいけ好かない男が鍵になってくる。
お手並み拝見だ。