朝飯は昨日夕飯抜きだったから、思いっきり食べようと思ったのに。


 説教を浴びながらだったから食べた気がしない。

 何も言わず、睨まずの俺に最後は哀れむ目を三人して向けた。


 こいつらは気づいたに違いない。


 俺と水野はただの友人だと。


 いや、俺の片思いだと。


 好きな女に嫌われて可哀相に、と目が語っていた。


 そんな目を向けられながらも睨んで黙らせる気力は起きず、部屋に戻った。


 昼飯は一人だ。


 食い溜めしなければ。


 活きこんで食堂に向かった。


 食べながら、水野に何か持っていったほうが良いか。


 確か、おかゆを水筒に入れて渡してあるって言っていた。


 なら平気か。


 俺の顔なんて見たくないだろう。


 俺が持っていったものなんて、死んでも食べないだろう。


 水野を気にかけている自分に気づき、閉口する。


 昼寝も結局できずに終わった。


 夕食では水野がいないだけで、いつも通りの雰囲気だ。


 広也が、水野の容態に触れただけで、他はたわいもない話をした。


 部屋でも広也とくだらない話をしていたが、昼寝もしていないから十時には寝た。


 それは熟睡だった。


 だからドアを叩く音に気づくのが遅れた。


 明かりを点けた。


 眩しさに顔をしかめる。


 時計を見ると深夜だ。


 隣に広也の姿がない。


 オートロックなのにキーを忘れていったのか。