それなのに、昨日と同じく3人はいない。
どんな風呂の入り方をしているのか実に不思議だ。
広也は笑顔を振り巻いて、女子大生の相手をしている。
頬杖をつきながら待っていると、ようやく来た。
広也は名残惜しげに、女子大生との会話を打ち切る。
「水野は?」
椅子に腰掛けようとする上原にすぐさま聞いた。
「あんたは。開口一番言うことがそれ!?」
呆れたように上原はタオルで首筋を拭いた。
「うるさい。水野はどうした?」
「小春ちゃんなら、散歩」
瀬戸が代わりに答えた。
「散歩って、いつだ?」
「お風呂に行こうとしたら突然『庭を散歩してくる』って、さっさと行っちゃったわよ。小春も気まぐれ……」
風呂に入る前?
もう一時間以上が過ぎている。
上原の言葉を遮り、テーブルを思いっきり叩いた。
「てめぇらは、馬鹿か!!役立たずが!!」
そう言いつつも、椅子から立ち上がりすでに走っていた。
周りと肩がぶつかったが、構わずひたすら走った。
玄関にあった下駄で、外に出る。
雪は本格的に降っている。
長袖一枚で外に出たのに、寒さは感じなかった。