水野は唸りながら、ふらふらよろける。
「おい!優しく扱えよ。大丈夫?小春ちゃん?」
「う~ダメぇ~きもぢ悪いぃ~」
それには構わず水野の腕を引っ張った。
呻く水野の肩を広也が支え歩き出す。
二十四時間営業のファミレスに入ると、水野は一目散にソファー席に寝転がった。
その上に、上着を脱いでかけてやる。
そして、水野が嘔吐したものをトイレに流し、その袋を捨てる。
手を洗いながら自然と深いため息がこぼれ落ちた。
確実だ。
あいつが俺の疫病神。
俺の人生を狂わせた。
もう勘弁してくれ、と泣きたくなった。
唸っている水野にとりあえず、オレンジジュースと水を置いといて、俺と広也は同時にコーヒーをすすった。
「さすがに、小春ちゃんの無防備さは驚きだな。これまで良く何事もなく生きて来れたよ」
「感心するとこじゃない。頭のネジが何本か外れてるんだ」
こんな醜態を晒すとはしっかり者が聞いて呆れる。
「俊。お前、合コンに戻って良いぞ。小春ちゃんは俺が送って行くから」
は?
何を言ってんだ、こいつは。
それに対し、広也はわざとらしく不思議そうな顔をする。
「里香ちゃんと付き合うんだろ?こんなところで、ただのお友達の面倒見る必要はない。付き合いは初めが肝心だ」
「お前が戻れよ。栗毛女が待ってる」
「里香ちゃん、去年うちの文化祭来て俊に一目惚れしたんだって。あんな美人との熱い夜を逃すなんてことしないだろ?里香ちゃんもその気だし。俺にしたって、小春ちゃんを介抱できるなんて役得だから遠慮するな」
こいつも本当に意地が悪い。