「いや~俊が快く参加してくれるとは思わなかったぞ!」
黒澤は俺の肩を陽気に叩いた。
「この顔が快く参加する顔に見えるか?」
「いや、今日は一段と麗しい顔立ちで。大丈夫、水野さんには黙っておくから」
目が節穴の安住だ、レベルが高いもこいつの目じゃ期待できない。
合コンの作戦会議をしながら三人が歩き出す。
俺は付き合っていられないと、その五歩後ろを瀬戸と歩いた。
「お友達が喜んでくれて良かったね。頼りにされるのは良いことよ」
にっこりと、嫌味を言う瀬戸。
「お前が悪乗りするやつだとは見損なったぞ」
「ね?榊田君。いい加減諦めたら?」
瀬戸はできの悪い子を見るかのような目を俺へと向ける。
「諦めてる。つーか、こっちから願い下げだって言っただろ?」
「ごめん。言い方が違ったね。私が言いたいのは、小春ちゃんのこと嫌いになろうとするのを諦めたら、ってこと」
「そんなことするまでもない。お前が知らないだけで、あいつは最悪だ」
「小春ちゃんに庇われたことがショックなのは分かるよ。でも、好きじゃないとか言いながら、いつも視線は小春ちゃん追いかけてた」
「…………」
「結局、好きなのよ。振り向いてもらえなくても。何か、気の障ること言われても」
「……知ったような口聞くな」
冷ややかな視線を浴びせると、瀬戸は苦笑いして息を吐いた。