「あいつにどう思われようと関係ない。俺はあいつのことをどうとも思っていないからな」
きっぱり言う。
すると、三人は呆れたように首を振った。
示し合わせたかのように同じ動作だ。
実は三つ子か。
最悪な三つ子だ。
「橘に言い寄られてる小春ちゃんを見て、苛立っていたお前が?」
「小春に写真見られて、石化したあんたが?」
「小春ちゃんが大変、って言っただけで息を切らせて来る、榊田君が?」
そして、最後に、信じらんな~い、と合唱団のようにハモった。
こいつらの仲の良さに、口元が引きつる。
「お前らに信じてもらわなくても結構だ!」
瀬戸の食べかけのプリンを一気に口に放り込む。
あ~!!という悲鳴が耳元で木霊する。
「まぁ。いいや。お前を呼んだのにはわけがあるんだ」
「どうせ、ロクでもないことだろ?」
「いや、深刻かつ差し迫った問題だ。今日、合コンに付き合ってくれ」
やっぱり、ロクでもない。
「黒澤たちと相談して、ただ飲みに行くって言って連れて行こうと思ってたんだが、小春ちゃんを諦めたなら、次の相手探しにお前にもぴったりだろ?」
黒澤も俺を騙して連れて行こうとしていたなら同罪だ。
後で、蹴飛ばさなければ。
「誰が行くか。他探せ」
「お前じゃないとダメなんだ。それを条件に、レベル高い子をそろえてもらったから」
「そうか。なら誰かに俺を名乗らせろ。友人のためだ、タダで名前を貸してやる」
俺はなんと、心が広いんだ。
高校時代の俺なら、昼飯をおごらせていたぞ。