次の日、大学に行く気にはなれなかった。


 俺は、元よりサボり魔だし、問題はない。


 寝たのか寝てないのか良くわからないが、とにかく気分が悪い。


 俺は酒には強いが、精神的な面が影響するのだと気づいた。


 あの女に会った時も、昨日も。


 そして、俺の精神に影響を与えるのが水野だということも。


 もう一度布団をかぶり寝なおす。


 携帯に出てしまったのは、完璧寝ぼけていたからだ。



『お~は~よ~!俊。お前、大学に来てないだろ?そうだろ?』



 広也の陽気な声に、低く唸る。



『朝からうるさい。今日は行かねぇ』



『おいおい。もう昼だ。それに俺にその態度はちょっとないんじゃないですか?榊田サン』



 広也の声が低くなる。



『昨日、俺がいなかったら、どんな事態になってたか。お前は愛らしい小春ちゃんを捨て、グラマー美女に乗り換えた最低男呼ばわりされてたぞ』



『そんな長い称号、誰も呼ばねぇよ』



 もう切ろうと思ったところで、



『今すぐ来い。小春ちゃんが大変なことになってる。小春ちゃんを見捨てるなら来なくて良いけど』



 それだけ言うと、尋ねる暇もなく電話は切られた。


 だが、掛けなおすことはせず条件反射的にベッドから飛び起きた。


 慌てて身支度を整え、大学に向かう。


 電車の中で、三階の学食にいる、というメールが送られてきた。


 電車を降り、一目散に駆け出す。


 昨日のことで、何かあったのかもしれない。


 ああいう噂は広まるのが早い。