こんなにジェットコースターに乗って、悪酔いしないのだろうかと思うほどに乗った。
そして、夜のパレードは見たいということで、温かい飲み物を買って寒さに備えた。
確か、去年。
水野は仁とはパレードを見ずに帰ったんだよな。
あれだけ楽しみにしてたのに、あまつさえ喧嘩して終わったんだよな。
「仁と一緒に、見たかったとか思ってんだろ?」
パレードの終わり近くに、隣の水野に話しかけた。
せっかく楽しんでるのに、水を差すようなことを言ったのは否定して欲しかったからだ。
俺といながら仁のことを考えてたりしてないよな?
仁は、もうただの幼馴染だよな?
水野と過ごす時間の中でいつも気になっていた。
そんなことない。
その一言が欲しいだけなのだ。
水野は目を真ん丸く見開いて、俺のほうを見た。
「榊田君じゃなかったら、そんなこと思ってたのかもね」
目を細め、やわらかく微笑んだ。
「仁くんと同じくらい、格好良い男の子と来れたんだもん。これで、遊園地も楽しい思い出に変わったわ。ありがとう」
水野はそれだけ言うと俺の目を見て、もう一度ほんわか微笑んでから視線を戻した。
一体、何が起きたんだ?
今日の水野は明らかにおかしい。
でも、それは俺にとって限りなく良い意味でだ。
パレードに夢中な水野の肩を掴み、俺のほうを向かせる。
大きな丸っこい瞳と視線が交わる。
「好きだ。俺と付き合ってくれたら、いつでも連れてきてやる。お前が望むならいつだって。好きなんだろ?遊園地」
俺と視線を合わせたまま、数秒固まってから俯く。
暗がりでも水野の顔が真っ赤なのがわかる。
花火があがり、一層ざわめきが大きくなった。