しかし、水野は甘くなかった。
夜、水野からメールが来た。
内容はというと。
今日はどうだった?
明日も二人に付き合わないとダメだよ。
美玖ちゃんに優しくね。
意地悪したら許さないからね。
そんなふざけた内容だった。
水野は俺に対して、姉貴面して説教する。
鬱陶しく思いながらも、姉貴面した水野も可愛いとか思ってたりしていたが、メールでは顔が見えないから鬱陶しいだけだ。
当然、携帯を放り投げて返さなかった。
それでも俺は、水野の言うことを聞いて明日も二人に付き合うのだ。
そして車で迎えに来た姉貴に変わって今日も俺が運転手を務める。
今日は買い物だった。
ひたすら店を巡った。
姉貴と美玖はこれでもかというほど買い込んだ。
そしてその荷物を全部俺に持たせた。
俺は誰が見ても、二人の荷物持ちだった。
水野、覚えてろよ。
と、両親とにこやかに過ごしているだろう水野のアホ面を思い描き、恨み辛みをぶつけた。
そしてようやく昼飯の時間になった。
二人はあれだけ動いたのに疲れを感じていない、というかむしろ朝より元気になってる。
反対に、俺は二人に生気を吸い取られ、やつれていた。
見た目にはわからなくとも、精神はやつれていた。
二人は俺のやつれ具合にも気づかず、まだ買い物をする気らしい。
もう一度、水野のアホ面を思い描き、頬をこれでもかというほど伸ばしてやった。
限りなく不細工だ。
「おい。俊。お前にも服を買ってやる」
別にいらないし。
そんなものより食べ物のほうが。
断ろうと思ったら、先に美玖が口を出してきた。