「美玖。失せろ。お前と一緒にいると気分が悪くなる」
「榊田君。どうして、そういう言い方ばっかりするの?」
「こいつが、俺をいちいち不愉快にさせるからだ」
水野と言い争いをするつもりはないが美玖に加勢しそうだ。
しかし、水野が説教をしようとするのを、美玖は遮った。
「いつものことだから平気だよ。ね!それより明日ね、明美姉も小春ちゃんに会いたいって」
俺は美玖の言葉に慌てる必要もなかった。
「ごめん。明日、両親がこっちに来るの。残念だな。私も会ってみたかった」
本当に残念がっている様子だ。
おじさんとおばさんには感謝しかない。
土日の二日間いるようだから、危機を免れた。
「え~!!明美姉、楽しみにしてたのに」
美玖は当てが外れ、情けない声を上げた。
「ごめんね。三人で楽しんできて」
三人?
嫌な予感がする。
美玖も一瞬、言葉を止めたが、すぐに嫌な笑みを浮かべた。
「……そうだね。三人で我慢する。お兄ちゃん、土日は付き合ってよね」
絶対、俺への嫌がらせだ。
俺を誘うつもりなんてなかったくせに。
「誰が付き合うか」
「せっかく私が仲良くしようと思ってるのに、その態度はないでしょ?」
可愛い妹を演じて、水野を味方につけるつもりだ。
案の定、水野に悲しげな視線を送った。
「榊田君。何で、そう冷たくするの?」
そして、水野のおせっかいが発動する。
「お前が口出しすることじゃない。おせっかいも大概にしておかないと鬱陶しいぞ」
わざと突き放した言い方をする。
美玖は俺を試してる、その手には乗るか。