俺は考えた。
どうすれば良い方向に進むのかと。
告白すれば何かが変わる。
そう思ったが変わらない。
水野に好きになってもらうにはどうすれば良いのかと。
好かれたいからと言って、無理をするわけではない。
ありのままの俺を好きになって欲しい。
偽りで好かれても、どうしようもない。
水野と顔を合わすのは一週間で四日。
昼休みの学食で二日。
このうち一日は道場でも会える。
バイトで二日。
日にち的には多いと思う。
だが、時間が短い。
昼休みは五十分。
水野は真面目で十分前には教室に向かう。
食べる時間と言えば、せいぜい三十分。
バイトや道場でも会えるとは言っても、本当に会えるだけ。
二人きりになれる時間は水曜日の昼休み。
そして、同じく水曜日の道場の帰りに夕飯を食べるぐらいだ。
非常に少ない。
これでは、どうしようもない。
口説く時間もあったもんじゃない。
俺が心待ちにしている水曜日。
梅雨入りし雨が降りしきる中、夕飯に誘った。
この時期は毎年、偏頭痛に悩まされる。
今年も例外ではなく、眉間に皺がよる。
そして、もう一つの頭痛の種は水野との関係が進展しないことだ。
日々、頭を悩ませている。
それを今日は取り除くことが、俺の精神衛生のためだ。
運動した後は腹が減るから、いつも以上に食が進む。
最後のデザートが運ばれて来てから、俺は切り出した。
「俺と付き合ってくれないか?」
水野は困ったように眉を下げる。
予想通りの反応だがやっぱり、ショックだ。
何度振られても、慣れることはないのだろう。
だが、言わないことには何も変わらない。