やや焦りながら答えてくれた朔は、初対面のオレとの会話のテンポがまだ完全に掴めてないらしかった。


「ピアノの絵?弾いてたんじゃなくて?」


「弾いてたんじゃなくて描いてたんだよ。見る?か………彼方」


人の顔色を窺いつつこっちを見る朔に、安心させる様に笑うオレ。


「おお!見たい♪」


そう答えた瞬間の朔のキラキラとした笑顔は、女の子だったら皆が真っ赤になるレベルだった。


人付き合い苦手そうだけど、慣れたらなつくタイプ?


「じゃあ…下手だけど」


開かれたスケッチブックに描かれていたのは、とても上手なピアノの絵。