君のぬくもりも

君の顔も

君の優しさも

君の笑顔も

君の声も

身長も癖も

手の大きさだって

ずっと忘れない。

だから、戻ってきてよ……。

「なぁ、何がそんなに苦しいの?」

後ろからそんな声が聞こえふりむくと

『……綾人』

「俺じゃ、ダメかな」

そんな、

『そんな悲しそうな目で哀れんでる目で

私を見ないで……っ』

そういうと、後ろからギュッと抱きしめられる。

「俺、チャラチャラしてるかも知んねーけど

好きになったら一途だよ?」

そう、顔を覗き込まれる。

そうかもしれない。

でも、

『……私は人を好きにはなれないの』

そういうと、

首を傾げて

「じゃあ、秋乃の好きな人わ?」

と、聞かれた。

『……私の好きな人はね




もう、この世にいないの』




そう、もうこの世にいない。

私が殺してしまった。

あの日

彼を私が

殺してしまったのだ。

だからこそ、

人を好きになってはいけないし

ずっと

ずっと君のことが好き。

涼……。