その後、百合飛が総長を
引退すると言い出した



急にどうしたのかと思ったし、
百合飛は俺達には必要な存在だから
必死に止めた。しかし無理だった



先代にその事を伝えると


先代は3年経ってないから
刑を実行すると、いった



先代も悲しそうな表情を浮かべており
先代も辛いのだと悟った





俺らの、暴走族の総長には
ルールがあった



「総長を始めて3年以内に辞めたものは



火の刑の対象とする」






火で炙った真っ赤な鉄で
背中に罰印を描くのだ



一生消えない傷だし、
目立つ傷跡でもある



百合飛が火の刑を執行された時
俺もその場にいた




百合飛は背中に罰印を描かれたとき
顔を少し歪めただけで終わった



先代達も、驚いていた



俺は百合飛に付いていくって
決めてたから暴走族は百合飛が
辞めた日に辞めた






「ここまでが周りが知ってる噂話
ここからが誰も知らないホントの話」









その日の夜俺は百合飛の家に
初めて行った




誰も居ない、何も無い一軒家だった




リビングに行くと手作りの
仏壇があって、そこには
百合飛の母さんと思われる人が
写真越しに微笑んでいた




「良かったら拝んでいって
もーすぐ墓の中に入るから」




そう言って、寂しそうに笑う百合飛



仏壇の横にはお骨と思われるものが
置いてあって、俺は仏壇に手を合わせた






「あの日俺に二択出したのって
母さんのことだろ」




俺は百合飛の方を見ていった



百合飛は仏壇の写真を見たまま
頷いた




「俺、めっちゃ弱えーんだ」



ぽつりぽつりと消え入りそうな

百合飛の声に俺は何も言えなかった





あの日百合飛が選択したもう一択を
選んでいたら、百合飛の母さんは
死ななかったかもしれない


そう頭によぎった




「百合飛、ごめん」



百合飛は写真を見たまま