彼女はびっくりした顔でこちらを向いた。
「あなた最低ね。女の子が泣いてるのを
こっそり見るなんて。」
冗談めかして僕に返事をする。
「私ね、もうすぐ消えるの。
お母さんは私が不安にならないように
隠してるんだけどね。
この前、お父さんに報告してたのを
見てしまったの。
二人共この世が終わるかのように
泣いてたの。
私は知らないふりをして
でも、沢山したい事があるの。
将来の夢だってあるわ。
まだまだ……。」
僕は何も言えなかった。
また静まり返る部屋。
「………じゃぁ、僕としたい事を
全部しにいこう。」
彼女は目を見開いていた。
「お金もないし、入院中だけど
こっそり抜けだして出来る事をしていこうよ。」
僕にはそれ以外
考えられなかった。
彼女は笑顔で頷き寝てしまった。