そうしていたら

彼女は拾った飴を僕の手に渡した。

微かに触れた指先は綺麗で


あぁ、綺麗な人はどこも綺麗なんだ。


って。




お婆さんにお礼をして

飴を頬張った。


口に広がる甘さ

少しして抹茶の苦味


でも、癖になる。



「お婆さん美味しかったです。」



お婆さんと彼女は微笑んで僕を見た。


「ワシは、甘いのが苦手だが

リオナちゃんと婆さんが

楽しそうな所を見てこちらも微笑ましく

なるでのう。

つい、2人を庇ってしまうんじゃ。」



お爺さんも微笑む。


あぁ、なんて幸せなんだろう。

この輪に自分も入れた安心感か

みんなの笑顔を見たせいか。


今まで変わらぬ病室の一角が

彼女が来てから

こんなに鮮やかになるなんて。







「コラ!お婆ちゃん!リオナちゃん!

あれほどダメだって言ったのに!あら?」


看護師さんが入ってきて

僕を見た。


「あ!タケル君まで食べちゃって!

ここはみんなグルになっちゃったのね?!」




そうやって前と少し変わった風景になった。