「高2の数学を担当される———————————


嘘でしょ・・・?


「春日高校の皆さん初めまして。主に高校2年生の数学を担当します。」


体育館に響く、初めてじゃない声。


「栗原 陵です。よろしく。」


挨拶が、後半すでに好意的なのも、
若い先生特有なのかもしれない。


いや、そんなことは今どうでもよくって。

頭の中が混乱して状況についていけない。


教頭の紹介に重ねられた名前。


”お隣さん”の、
”栗原さん”の、名前を。


こんな形で知ることになるなんて。
”お隣さん”以外の関わりを持つことになるなんて・・・


 ———————————————・・・


「いや~あれは大当たりだよ、いと!!」
「なにが。」


臨時集会が終わって、
今は1限目の生物の移動教室に向かう途中。


風花の饒舌ぶりは、いつもより3割増しだ。

理由は言うまでもなく・・・


「「なにが。」じゃないしっ!マロン先生のことに決まってるじゃん!」