あれ・・・なんでだろう。

目が合うまでが、すごくゆっくりに感じたのは。


「え。」


間抜けなその声に、一瞬止まってた時間がうごきだした。


「あっ、すいません。えと・・」


あれ?
あたし、なんでわざわざ止まってまでこの人のこと待ってたんだろう。

てか、このあとまったくノープラ・・・


「やっべ、独り言聞かれたとかマジ痛いやつじゃんオレ」


てか、愚痴か。と、分かりやすく頬を赤くして呟く”お隣さん”。



「あっ、いや、その、あたしこそボケっと突っ立って変なやつっていうか、
 でも、親が会ったら挨拶くらいはしなさいって言ったんで、その使命感といいます    か・・・」


って、馬鹿あたし!!!

これじゃまるで挨拶嫌がってるみたいじゃんっ。


「ぷっ。」


思わず吹き出したような声に
弾けるようにして顔をあげたら、
”お隣さん”はまた、「あ。やべ。」みたいな顔をした。


「すごく、礼儀正しい親御さんなんだね。」