どこか乱暴に。
いや、慌ただしく、の方がしっくりくるかも。

勢いよく開いたドア。
それは、数分前まで絶賛話題だった”お隣さん”のドアだ。


うっそぉ・・・
さっそく対面?


軽度の人見知りとしては、望んでなかった展開。 

ごくりと生唾をのんで、
噂の408号室さんとの初対面にスタンバイ。


最後のあがきと前髪を整える自分に関心したぞ高坂いと。


「ちっ、あいつら・・・こんくらいのゴミサービスで回収しろっての。」



記念すべき”お隣さん”の第一声は舌打ちで、そして男の人の声だった。


勢いよく開いたわりに
なかなか出てこなかったのは、
その顔が隠れるほど積まれた段ボールが邪魔をしたのたろう。


そして、「あいつら」とはきっと、ケチな引っ越し業者の人。


はあっ、というため息とともにドサッと置かれた箱。
実にダルそうに顔をあげたスーツ姿のその人の目が、ついにあたしを捉えた。