「うん。分かった!」


とりあえずの返事に、
お母さんはうなずいた。


「じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃいっ」


5月の陽差しがポカポカと心地よくて、
すうっ、と深呼吸をして、
朝の澄んだ空気を身体いっぱいに吸い込む。


お母さんは毎朝必ず玄関までこうやってお見送りして、
夜ご飯を作り終えてから仕事に行く。

それは、
あたしが中2の時にお父さんと離婚して、
夜遅くまで働くようになったから。

お母さんが帰ってくるのは、あたしが寝た後という日も多い。

高2にもなって家に一人の時間が多いこともいい加減なれたのにな。
過保護なのは相変わらずだ。

「よっしゃっ」、と
心の中で1日のスタートに気合いを入れた時、だった。


ガチャッ