「ちょ、風花っ!あたし、先に行ってるから!!」


栗原先生に、
あたしがここの生徒だということは、
できるだけばれたくない。


「え~!なんでよぉ!!いとも行くよ!?」
「えっ、待って、あたしは!」


捕まった時すでに遅し。
あたしは無理やりズルズルと風花に引っ張られて・・・


「栗原せんせっ!」


あっけなく”お隣さん”とご対面だ。


風花の甘くて高い声のせいで
栗原先生と周りにいる生徒の顔が一斉にこちらを向いた。

あーもぉ、最悪すぎる。


「あ、君は・・・」


栗原先生が風花を見ながら、また困ったような顔をした。

すでに高確率でこの顔を目にしてるし、
おそらく癖のようなものなんだろうな、と勝手に思った。


「風花です~!!覚えてくださいよぉ!」

「あぁ・・・ごめん、風花ちゃんか。」


名前しか提示しない風花のせいで、
名字呼びは必然的にシャットアウトされてしまった。